彼らが藤田くんを茶化しても、
藤田くんは氷のように無表情。



それが気に食わなかったのか、
藤田くんの椅子の前にいた人が藤田くんを睨んだ。




「人の席にたまると邪魔だってわかんねぇの?低脳すぎ」



ああ…っ。

藤田くんそんな言い方しちゃ、あいつらきっと怒る…。



いつの間にか教室には重い空気が流れていて、うるさかった教室が静かになり始めていた。




「あ? 藤田てめー今なんつった?」

「やることが低脳だから低脳って言っただけだけど」




怖くて、動けない…

物音すらしなくなった教室で
みんなの視線が藤田くんたちに集中していた。




「っ…ふざけんなよ…」



その声と同時に、1人が藤田くんを突き飛ばした。



「…っ、藤田くん…っ!」

「あたし先生呼んでくる」




ダッシュで職員室に向かった友里とは裏腹に、あたしはただケンカの現場を見つめることしかできなかった。



すぐそこに、突き飛ばされて壁に突撃した藤田くんが壁に寄りかかっているのに。