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じめじめと蒸し暑い、6月の梅雨の時期。

「律、おはよー。」
「おはよ~」

私はクラスメイトと他愛もない挨拶を交じりつつ自分の席に着いた。

瀬尾律。
これが私の名前。

何の取り柄のない普通の高校生2年生。




「律おはよ!それなんの本?」

私が読書の準備をしていると友達の夏川優空が話しかけてきた。
優空とは今年知り合ったばかりだけど仲がよくていつも一緒にお弁当を食べている。

「ん、ただの少女漫画だよ。途中まで読んだけどつまらない。」
「あー、確かに律って少女漫画ってより少年漫画っぽいもんね!」

その言葉かなり傷つく・・・。
優空は悪気なんて一切無いんだろうけど。

「うう、どうせ私は可愛げの無い女ですよ!」

私はわざと雑に漫画を机の中に納めた。
こういうところも含めて本当に可愛げの無い女だな、と自分でも思う。

優空はそんな私を見て
「そういう意味で言ったんじゃないよお」
と笑った。