晴れ女

朝陽が発する声も優しくて。

無意識に携帯を握る手に力が入る。



「朝陽……」



何とか搾りだした私の声。

喉がカラカラで熱い。



『ごめん、今由紀家に居て……寝てたんだけど起きたからまた電話するな』


「う、うん。じゃあまた……」



震える声で何とか明るい声を出し、電話を切ろうとした私の耳に――



『いっちゃん大好き』



微かに聞こえた”由紀”の声。

そのあと聞こえたのは当然朝陽の声で。




『ちゃんと服着ろよ』




――ツー……ツー……ツー……ツー……




一番考えたくない最悪な状況を示す声。


電話が切られ、虚しく鳴り響く電話音。




――悲しくて涙が出ない事は産まれて初めてだった。