て・そ・ら



「・・・ははあ!」

 あたしがまだ全部言い終わらないうちに、何故か納得したらしい後輩は大きな笑顔で言った。

「お邪魔虫ですよね!あたしは消えますから~」

 って。

「え・・・え!?ちょっと?」

 まだ草に座ったままで両手をバタバタと動かすあたしを置き去りにして、ヒカリちゃんはあっさりと校舎の方へ走っていってしまう。

 えええええええ~っ!!?ヒカリちゃーん!お、お邪魔虫って・・・まだ何も言ってないのに、もしかして、バレた??

 一人で取り残されたあたしが呆然としていると、ボールを見つけたらしい横内が斜面を上がってきた。

「ここで寝てたら寒くないか?」

「えっ!?」

 まだ混乱中のあたしはすぐに答えることが出来ず、草の斜面を上がりながらこっちを見る横内に過剰な反応をしてしまう。

「さ、寒くは・・・ないよ!大丈夫。ほら、お日様があったかくて・・・」

「うん、今日は晴れてるからな」

「ええと・・・クラブで、写生しようってなって・・・」

 ふーん?そう言いながらとうとう横内はあたしの所まで上がってきてしまった。あたしは急いで頭を回転させる。ほらほら!言いたいことがあったでしょ、あたしったら、もう!!

「航~!ボールあったかー?番、回るぞー」

「おー、行く行く」

 上のコートからかけられた声に返事をしてそのまま上って生きそうになった彼に、慌てたあたしはつい、大きな声で言ってしまった。