て・そ・ら



 たまに通り過ぎるのが同じく帰宅途中の高校生たち。それから数台の車。そして、雨なのに外周をランニング中の運動部の人達。

 野球部に、サッカー部。それから――――――――あ、テニス部もいる。

 あたしはそれに気がついて、つい、外周を走る運動部の男子達の中を探してしまった。横内を。いるかなって。いたらどうしようとか思ったわけではない。

 ただ、いつものクセで探したのだ。

 走ってくるかなって。

 だけど数人の野球部員を見送ってから前を向いた。

 あたし、濡れてるし、酷い顔をしてるはず。自分でも思いっきり口角が下がっているのが判っていた。長い髪も、きっと背中でもつれているだろう。だって霧雨とはいえ濡れているんだもん。

 ああ・・・現実では、格好つかない女の子・・・。こんな時には横内の顔も見れない方がいいのかも。

 もうすぐ外周から離れて2つ目の信号だ、そう思って右足を大きく踏み出したとき、走ってくる数人の運動部の中に横内を見つけてしまったのはタイミングが悪かったとしか言えない。

「あ」

 小さく声が漏れてしまった。

 目が、あった気がする。

 だけどあたしはすぐに拳で前髪から落ちてくる滴を拭うふりをして、顔を隠した。

 見られたくないって思ったのだ。ああ、もう!ちゃんと傘をしてればこんな状態を見せなくて済んだのに。そう思って自分に腹を立てていた。

 だけど、相手はクラブで外周を走っているのだ。そのまま流れて去っていくって思ってた。

 だからびっくりしたのだ。佐伯、って声がしたから。

 後ろで。