・・・あ、夜練するんだ。

 あたしは重なる情報にちょっと気分が凹んだのを感じた。

 と、いうことは、あたしは今日は夕焼け電車も横内ウォッチも手に入れれないってことなのか。彼女がいるかもしれないってことに思い当たり、影からこっそり見ることも出来ないと判ってしまった。・・・あうう。

 凹むあたしには気がつかず、優実は熱弁をふるっている。

「だからその試合に勝てばさ、あっちも気分いいでしょってことなのよ!!来週の展覧会でいい結果が出れば、どっちも気分がいいままでラブラブ告白タイムになるってことじゃあないのっ!」

「どうしてそんなに告白させたいのよ?例えば本当に好きでもさ、付き合いたいとかそんなんじゃないって人もいるでしょ」

 あたしが若干引き気味でそういうと、優実はピタッと腕を振り回すのを止めた。

「マジで言ってんの?」

「は?」

「高校生で、気になる男子がいる。そんなの付き合ってからもっと好きになるんじゃない。中学生じゃないんだから片思いとはサヨナラなの。高校生ならお付き合いになるの!それに、あたし達、大人じゃないのよ。面倒臭い条件なんか、恋愛にいらないの。気になる人とはどんどん付き合ってみたらいいのに」

 ちょっと驚いた。

 おおー、激しいなあ、って。

 それと同時にこうも思った。

 物事って、簡単に考えることが出来るんだ、って。