て・そ・ら



 がっくり。一体どうしたらそんな思考回路になるのだ。照れるどころか疲れてしまった。だってあまりに現実感なくて。

 あたしが男子に告白だと!!

 それも隣の席の眠りん坊に!!

 まだおはようも言えないのに!!

 優実はにやにやと笑いながら、軽やかに言う。

「だって七海の作品が選ばれたらテンションも上がるでしょ?その興奮に力を借りて、思いを告げるのよ!高校生活なんて短いんだから、のそのそしてたらダメだって。ガンガンいかなきゃ、好きな男は他の女子にとられちゃうんだよ?」

 あたしはしばらく口を開けっ放しにして優実を眺めてしまった。・・・他の子にとられるって・・・。その表現はなんかおかしくない?

「・・・・ま、それはそれで仕方ないよね」

 たら~っと返す。そりゃああたしは今まで興味も関心もなかったけど、横内だって人気がある運動部の一員で、あまり知らないけれども性格は悪くなさそうで、いい体格をしてる。それに顔も、ぶさいくなんかでは全然ない。

 実はファンです!って女の子がいてもおかしくないのだ。で、そういう女の子がぐいぐい接近して彼と彼女はカップルに~なんてなっても、あたしがどうこう出来るわけがない。いや、もしかしたらもう彼には彼女がいるかもしれないのだ。あたしが知らないだけで。

「もううううう~!どうしてそこで諦めるのよ、あんたは!」

 一人でぷんぷんと怒って、優実は下をびしっと指差した。

「あっちは明日対校試合なのよ!だから引退したはずの3年まで練習してるの。なんか、宿敵の学校とらしいのよ。最近男テニは朝錬も厳しかったらしいし、昼練まであったって。それに珍しく今日は夜練もするって聞いたもの!」