へえ。眠りん坊が眠れないことなんかあるのか!あたしは驚いたから、つい素で聞いてしまった。
「眠くなかったの?珍しいねー」
って。そうしたら、横内が立ち上がりながら言ったのだ。いやいや、佐伯さんが隣だとさ、って。
「え?」
あたしはきっと埴輪のような顔だっただろう。・・・なぜ、あたし?ど、どどどどうしてあたしの名前がそこで?って。
「授業では寝ちゃダメだって、俺だって思ってる。それはダメだろって自分でもね。でもどうしても眠くて、いつも睡魔に負けるんだ。で、隣の席の人達が起こしてくれるけど、佐伯さんはしないでしょ。だから、逆に・・・何か眠れなくなったっていうか・・・起きれてるんだ」
「―――――――あの・・・ごめんね」
起こさない女が横だと眠れないのか!しかももしかして、おめーが起こさないからだろって言われてる?!ちょっとばかり、あたしは感じなくてもいい責任を感じてしまったのだった。
すると慌てたらしい横内が、困った表情で言った。
「いや、佐伯さんは悪くないんだけどさ。というか、きっとその方が俺にもいいんだよな。寝ずに済むんだから。・・・・だから、うーん、謝る必要はなくて・・・」
困ってる。困ってるぞ、眠りん坊が。あたしは思わずじっとみてしまう。そのちょっと眉毛を下げた表情は、印象が柔らかくなって幼かった。ってか、これだけたくさん横内と話したのは初めてかもしれない。いや、初めてだ。
―――――――・・・おおーっ!!



