珍しく真剣にそういったのに、優実は鼻で笑って手をヒラヒラふっただけだった。
「好きな男の子がかく汗はきらきらして見えるのよ!近くにいくだけでドキドキするし。もしかして七海、誰かを好きになったことがまだないとか!?」
目を大きく見開いて、彼女はぐぐっと顔を近づける。返事をしないでおくとまさかでしょ!?ってついに叫んでまでいる。あたしはささっと後に下がり、小声で返答した。
「そんなことはない、と、思う・・・」
「思うって何よ、思うって。あるかないかでしょうが」
「気になるやつは、実はいる」
「なんですとっ!??」
ぐいぐい近づいてきていた優実が、ここで激しく両手をたたきだしたから正直なあたしはドン引きした。ナンなのだ、この人。
「うわー、素晴らしい!誰誰、教えて!七海と好きな人が被らないようにするからさあ~!」
・・・それって一体どういうことさね。
物凄く理解不能だったけれど、あたしはもう成り行きに任せることにして、中庭で練習中の男子硬式テニス部を指で指した。
「――――は?テニス部なの?え、そんな格好いいのいたっけ?」
身を大きく乗り出して、彼女はアチコチに視線を飛ばしては吟味を始めた。
「幸田・・・は違うわよね。あんなジャイアント、七海の好みとは思えない。それに増井も―――――――ないよねえ~、あはははは、あんなもやし野郎。じゃあ誰よ。あれは1年だし、あっちは3年・・・てかどうしてまだ3年がいるのよ、とっくに引退のはずじゃあないの?ねえちょっと七海、同学年なの?」



