優実はじい~っと中庭を見下ろして、なんだ、と言った。
「テニス部か~。パッとしないよね、悪いけど。やっぱり格好いいのはバスケやサッカーじゃない?」
優実のコメントに、あたしはヒョイと肩を竦める。
「どっちも興味ないけど」
そもそも、あたしはバスケもサッカーも野球もテニスもルールすらあまり知らないのだ。だけどそんなコメントは必要なかったらしい。こっちを見もしないで、優実はベラベラと話し出す。
「あたしはバスケ部の笹山君。もうめちゃ格好いいよね、ほら、4組の」
「へー」
「それとか7組の磯部くんでもいい!あの子は野球部だから丸刈りが残念だけどさあ、まあそれも青春って感じでいいよね~」
「へー」
「でもサッカー部はもういいかも。元カレのツトム、よく考えたら浮気症だしなんていうか軽かったよね。それってさ、サッカー部にはいつでも女子が群がってるから、ちょっと調子にのってるんだよね、もてると勘違いして」
「へー」
棒読みの返事をしていたら、膨れっ面になった優実が振り返った。
「もう、七海ってば!いい加減青春に突入しなさいよ。もう17歳になったんでしょ?気になる男子の一人や二人や三、四五六人作らなきゃ!」
・・・そんなに?
あたしは呆れた顔で優実を見た。
優実は膨れっ面をしていても十分に可愛い平均以上の顔で、こっちを見ている。



