て・そ・ら



 あたしはだから、半泣きになって問題集を片付けだした。彼が言ったバツゲームって、男子硬式テニス部の基本練習だったんだよ!

 ランニング、ストレッチ、それから50メートルダッシュと、あと何だっけな。まあとにかく運動不足が服を着て歩いているようなあたしには、地獄ですか!って言いたくなるようなメニューだったのだ。

 必死にやって、お陰さまで初彼氏とのラブラブ図書館デートは見事な修行の場に変身した。

 授業中に寝ても勉強についてこられたのって、この集中力か!と思ったわけで。

 そうして、長くて長くてながーく感じた2学期末の校内一斉テストは無事に本日で終了となる。2限目のチャイムが鳴ったとき、教室中から歓声が沸き起こった。

 明日はテスト休みで、そのあと終業式が待っている。

 今日はこのあとクラブがあるって横内から聞いていたから、あたしも一度美術部へ顔を出して、その後また屋上へ行こうって思っていた。

 鞄の中でケータイが震える。滅多に鳴らなかったあたしのケータイは、近頃よくこうやて震えてくれる。あたしが部屋にこもって携帯を触っているのを気にした母親が、一度ずばっと「七海彼氏が出来たのね?」と言い当てたときにはビビッたけど、とにかく、また横内からのメールがきたのだ。

『お疲れ。部活で一緒に帰れないけど、帰りは気をつけて』

 くふふとつい笑ってしまう。それから廊下で立ち止まったままで、ゆっくりと返信した。

『お疲れ様。長かったね、テスト。あたしも今日は美術部出るよー』

 それから、屋上もね。