その日の帰り、電車の中で。
携帯情報を交換した。
何だかとても緊張して指が震え、あたしはうまく赤外線が操作できなくてまた横内に笑われる。
でもいいのだ。
嬉しかったから。
いいんだよ、全然、ぜんぜーんいいのだ!
交換したばかりのその情報を使って、横内がトロトロになる言葉をくれたのは深夜1時23分。
自動販売機くらいしか光ってない黒い夜の世界の中、あたしの家の、あたしの部屋の、あたしのベッドの中だけは春の昼間みたいにふんわりと柔らかくて暖かい、そして明るい空気に満ちていた。
『俺とつきあってくれる?』
声にならない絶叫を上げて布団の中でのた打ち回ること10分。
センスの良い言葉の返信を、と考えて3分。
ダメダメ、ここはそんなこと考えている場合じゃない、と自分を叱ること2分。
何度も何度も読み返して散々ニヤニヤした時間は、隣の部屋で寝る母親の朝の目覚まし時計が鳴るまで。
あたしは結局、午前4時2分、こう返信した。
『ありがとう。どうぞよろしく』



