て・そ・ら



 このまま待っていれば。

 世界は皆同じ色に染まるんだな。

 そう例えば、どこにいても空は繋がっている。

 世界中のどこにいても、空と海は繋がっていく。その時々で表情も違うし、泣いていたり笑っていたりするのだろうけど。雨でも嵐でも晴天でも雪でも曇りでも、空は、繋がっている。

 あたしが描く空も―――――――――――横内が見惚れた青空も、同じ場所に存在しているんだ。

 何だかハッとした。

 急にそれを思いついたのだ。

 彼が言っていた、ラケットでボールを打っている時につい見てしまう空も。

 あたしが描いていた、紅葉の向こうに映える青空も。

 同じだ。

 同じなんだ。

 今までのいつか、この学校の中で、場所が違ってもみていたものが同じ。

 ぶわっとトリハダが立ったのが判った。

 ・・・繋がってた、ちゃんと。

 ゆっくりと紅色が混じりだして、真正面からは見れなくなってくる。眩しくて目を細めた。ちゃんと見たいけど、目がつぶれそう~・・・。

「・・・行きたいなって思ってた」

「え?」

 横内の小さな声が聞こえて、あたしは横を向く。

 人二人分の距離を空けて、同じようにフェンスに寄りかかった横内の顔は、マフラーでほとんどみえない。出ているのは目のとこと、耳だけ。

 その目は細められながらも、真っ直ぐ夕焼けに向けられている。