10年越しのコクハク

「えっ?そ、それは……。さっきは、たまたまSNSで見かけたって話をしただけよ。そしたら、和樹を懐かしいなぁって思っただけ」

「ウソつくなよ」

「ウソじゃないってば。それに、これ以上近付かないで」

和樹は強気で、どんどんわたしに近づいてくる。

その勢いに圧されてカバンが倒れてしまい、中身が出てしまった。

良かった、これでこの変な雰囲気も途切れるわ。

「拾わなきゃ」

すぐに屈みこんで書類を集めていると、和樹もすかさず手伝ってくれた。

だけど、お互い同じ書類に手が伸びてしまい指が重なる。

「あ、ありがとう……。もう、大丈夫だから……」

だから、その重なってる指を離してよ。

和樹は黙り込んだまま、少しも手を動かさない。

さっき、長い指だと思って見ていたからか、妙に意識してしまう。

最後の書類を拾えないまま、和樹にゆっくり顔を向けると、真っ直ぐにわたしを見つめていた。