慌てて視線をグラウンドに移すと門倉が仁王立ちする目の前で雅樹先輩がしゃがみ込んで足を抱えていた
「え、久田先輩・・・」
そんな瀬尾くんの声を背中に感じる
気付けば私は雅樹先輩の元へと走り出していた
「櫻田っ?!」
「やめて下さい!!!」
皆の驚く声を耳にしながら雅樹先輩を庇うようにして前に立ち、私なりに力強く門倉に言い放つ
「は?オマエ何」
「もう・・・やめてください」
「意味わかんねえー、つか試合中」
「でもっ・・・」
「なあ?立てよ久田」
「やめてっ!雅樹先輩はケガをしてっ・・・」
「・・・・・・迷子ちゃん」
痛みに耐える雅樹先輩を見ると、辛くなって思わず声が震えるっ・・・
「もう・・・これ以上ウチの部員を傷つけないで!!」
「・・・・・琴姫ちゃん・・」
耐えられない。
皆には笑顔でいてほしい。
いつも通り冗談言い合う皆でいてほしい
痛いのなんてイヤっ
辛そうな皆なんて、見たくないのっ・・・

