「はぁ……壁ドン羨ましい~」
「え、まこちゃんまだ壁ドンのこと言ってるの?」
「あ、涼くんおかえりー」
ウォッカ片手に戻ってきた涼くんが、私の独り言を聞いてクスクスと面白そうに笑っている。
そんな彼にむぅと口を尖らせる私。
「壁ドン、ホントに良いんだってば!涼くんも彼女にやってあげたら絶対喜ぶよ!」
「んー……、機会があったらやってみるね」
「……絶対やらないでしょ」
「あはははは。乙女だね、まこちゃん」
笑って誤魔化してるのバレバレなんですけど!
「乙女で結構!壁ドンしてくれる素敵な人探すもんねー」
フンッと涼くんから顔を背けると、ストンと椅子から降りる。
「え、まこちゃん帰るの?」
怒って帰ると勘違いしたらしい涼くんが焦ったようにそう問い掛けてきたけど。
お生憎様。まだ帰りませんから!
「トイレ行くだけ!」
べーと舌を出して、その場から駆け出した。
「はぁ……」
やっぱりあぁいう話題は男には分かんないのかなぁ。
今流行の壁ドン。
女性には凄く人気なのに男性にはその良さが全然分からないらしい。
まぁ、するのとされるのとでは全然違うしね。
しょうがないか。


