確かに顔は格好良い。それは認める。

けど、性格がそれを台無しにしてるのが残念でならない。


この男は超が付くほど俺様だし、いつも偉そうに命令してくるし、涼くんがいない時は平気でコキ使いにくるし。

それに私、お客様なのにお前呼ばわりされてるし。

しかも扱いが雑!


まぁ、そんな態度は私に“だけ”なんだけど。


そりゃ毎日入り浸ってたら遠慮も無くなってくるけど、それでも親しき仲にも礼儀ありってもんでしょ!


他の常連さんも私への扱いが雑なの知ってるくせにキャーキャー言ってるし。

ホント、顔が良いってだけで何でも許されると思わないで欲しいんですけど。



「あーあ。タクミくんみたいな人どっかにいないかなぁ……」


こんな俺様男じゃなくて、タクミくんみたいな爽やな好青年。

昨日のドラマみたいに壁ドンされて『早く惚れてよ』って言われたい。



「いるだろうが。目の前に」

「………は?」


今、なんか聞こえた?幻聴?


「オイ、どこ見てんだよ」


キョロキョロと左右を見回せば、カウンターの中から聞こえてきたのは不機嫌な声。


「あ、幻聴じゃなかったの」

「……お前、犯されてぇのか」


わざとらしくとぼけて見せる私に、迅の纏う空気が一変する。

けど、そんなの知らん振り。