このド失礼な男の名前は高嶺 迅。
認めたくはないが、このお店のオーナーだ。
顔が良い事を理由に好き勝手している横暴なドS男。
「涼、裏からウォッカ取って来い」
「あ、はい。分かりました!」
偉そうに指示するくせに、自分は煙草を吹かしながらお酒を煽ってるというのは一体どういうことなのだろうか。
正直、オーナーとしてどうかと思う。
でも、これがこの男の仕事スタイルらしく、仕事態度に関しては今までお客様からのクレームは一切無い。
まぁ、その理由は考えなくても分かるけど。
「迅さんってホント煙草似合うよねー」
「美味しいお酒にイケメン。目の保養目の保養」
良いですね、顔面偏差値の高い人は。
何をしても許されるんだから。
「何だよ」
「……べっつにー」
ジトッと冷めた目で見つめる私に、訝しげな視線を送ってくる迅。
それを無視して、お気に入りのスプモーニを一口飲み下す。