ポケットにはチョコレート


大人は勝手すぎる。

自分から手を離すくせに

子供が
二度と忘れられないような

記憶を残して

勝手に消えるんだから。



「‥‥‥ちゃん‥」

「恭ちゃん!」

シゲの声にハッと我にかえる。

「どないした?
顔色悪いし、汗すごいで‥」

シゲは俺の顔を覗き込んで
聞いてくる。

周りをみると
セナはもちろん、セナの家族も
俺を見ていた。

見るな‥‥
そんな顔で見るな‥‥。


急に息がしづらくなる。

「はぁ‥はぁ‥」