『恭ちゃん‥今日なに食べたい?』
なんでもいい。
お母さんの味なら‥
『誕生日なのにすまん‥』
『恭平‥来年は皆で祝おう‥』
口先だけの約束だった。
そんなの分かってたけど‥
初めて親父と指切りげんまんをして
俺は‥‥少し嬉しかったんだ。
『恭ちゃん‥ごめんね』
謝るな。
そんな顔するなら
振り払ったこの手を
もう一度握って‥‥
そばにいてよ。
『息子さんは引き取ります』
『恭‥‥‥平‥』
あの時確かに聞こえた。
長谷川さんと家から
でる瞬間
俺の名前を
今にも消えそうな
声で呼ぶ
親父の声が‥‥‥‥

