第1章。




「荷物‥それだけ?」

今にも泣きそうな顔をしながら
長谷川さんはいった。

俺は靴をはきながら
頷いた。

「恭平くん‥
なにもできなくてごめんね‥」

「なにかしてなんか
頼んだ記憶はねーよ‥」

「頼んでないかぁ‥」

長谷川さんは笑いながら
でも悲しそうな声でいった。