「……葉月、だよな?」



その人は、確認するようにもう一度私の名前を呼んだ。



「……うん」



私は戸惑いながらも小さく返事した。

まさか、こんなところで鳴海に再会するなんて……。



「何?快翔(かいと)の知り合い?」



鳴海の隣にいた男子が、不思議そうに私たちのことを交互に見ている。



「あぁ。だから悪いけど先行ってて」

「おー。わかった」



その人は私たちの様子を気にしながらも、もう一人の男子とその場から離れた。



「……久しぶりだな」

「……うん、久しぶりだね」


ぎこちない会話。

だって、鳴海にこうして会うのは中学の卒業式以来だし……。それに……



「なんか、葉月。だいぶ雰囲気変わったな」



明らかに戸惑っている鳴海。

鳴海が今の私を見て戸惑うのも無理ないよね。

だって、高校生デビューって言葉はあっても、“逆”高校生デビューなんて聞いたこともないもん。