「じゃあ、俺の分の杏仁は緑川にあげよっか?♪」
そう言って、緑川さんと私の隙間に無理やり入り込んできたのは土屋くんだ。
「あたし、もうお腹いっぱいだからいらない」
緑川さんはそっけなく断る。
「えー。けど、女子は甘いモンは別腹っつーじゃん?」
「あたし、そこまで杏仁豆腐が好きなわけじゃないし」
「そうなの?」
「そうなの。っていうか、土屋くんがそこ座るとキツイんだけど?」
不機嫌な顔で土屋くんを見る緑川さん。
だけど、土屋くんはそんな視線にも全然同じてなくて。
「緑川がキツイんだって。だから悪いけど、葉月さんもうすこし朝陽の近くよってくれる?」
むしろ、こんな調子だ。
「あ、うん。ごめんねっ」
私は土屋くんに言われて、すこし端にずれる。
すると、向日くんとトンッと肩がぶつかった。
「ごめんね、向日くんっ」
「全然。それじゃ葉月がキツイでしょ?もっとこっちくれば?」
グイッと肩を抱き寄せられて、私の心臓が飛び跳ねた。
向日くんと私は、いわゆるお誕生日席の場所にふたりで座るかたちになってしまった。



