あなただけを見つめてる。



はぁ、よかった……。


無事にバトンをつなげたことに、ホッと一安心。


一気に脱力してしまって、私は地面に座り込んだ。


向日くんの走りが気になって視線を追いかけたときには、、もう次の走者にバトンタッチされたあとだった。


残念、見たかったな。


でも、私がひとり抜かれて3位でバトンを渡したのに、向日くんの次の走者が1番前で走ってるってことは、向日くんの走りのおかげってことだよね?



「葵ちゃん、おつかれさま」


「あー、希子ちゃん。おつかれさま」



私よりも先に走り終えていた希子ちゃんが私の隣にやってきた。



「葵ちゃん、今日すごかったね」


「え?私?」


「うん、今日の本番が一番速く走れてたんじゃない?」


「えー?そうかな?」



自分じゃ全然自覚なんてないんだけどな……。


でも、もしそうだとしたら、絶対に向日くんのおかげだってそう言い切れるよ。


向日くんが直前に声をかけてくれた言葉が、私からマイナスな気持ちを取り払ってくれたから。


だから、少しは私も自信を持って走れたんじゃないのかなって。そう思うんだ。