あなただけを見つめてる。





「言ったろ?葉月はなんも心配いらないから」


「…………」



向日くんは、急に泣いている子供をなだめるみたいに優しい口調になって、目を細めて私を見つめる。



「俺、足なら誰にも負ける気しねーし。つーか、絶対負けねぇ。だから、葉月は抜かれたらどうしようとか、転んだときの心配とか余計なことは一切考えるのナシな?俺がいる場所までバトンをつないでくれたら、あとは俺に任せろ。どんな順位からでも、俺が1番先にゴールテープ切ってみせるから」



向日くんはやっぱりすごいよ。


いつも自信に満ち溢れていて、ものすごいエネルギーを感じる。



「ありがとう、私、がんばる」


「おう!せっかくの体育祭なんだし、思いっきり楽しもうぜ!」



──“楽しんだもの勝ち”。



前にくれたその言葉が、胸に響いていた。