あなただけを見つめてる。




「葉月、ちょっと一緒に来てくれない?」



向日くんにそう声をかけられたのは、1限の現国が終わった休憩時間のこと。



「え?」


「いいから、いいから」


「ちょ、向日くんっ?」



向日くんは椅子に座っていた私の右腕をつかみ、私を立ち上がらせた。


私はわけがわからないまま、そのまま向日くんに連れられて教室を出ていく。



「向日くん?どこ行くの?」



相変わらず腕は引っ張られたままで。


その光景を廊下にいた女子たちが何事かとみている。


ヤバイ。


こんなところを見られたら、また反感かっちゃうよっ。



「向日くん、手、放して……?」


「え?あー、わりぃ」



向日くんは、そこでやっと私の手を放してくれた。



「…………」



手をつかまれたことが嫌だからじゃないんだよ?


むしろ、ドキドキするくらい嬉しかったの。



でも……。



「葉月、何飲む?」


「え?」



気付けば、廊下に設置された自販機の前に私たちはいた。