けれど、彼らと同じクラスになったことを“最悪”だと嘆いている私のすぐ傍では、


“やばーい!このクラスの男子のメンツが神すぎんだけどっ!”

“向日くんを筆頭に、サッカー部のイケメン勢揃いって感じだもんね
!”

“これから超楽しみ~♪”


私と同じ制服を着ているとは思えないほど、それを可愛く着こなし、メイクだって髪だって綺麗にしている女子のグループがそんな会話で盛り上がっていた。


──“向日朝陽”。


男子にまったく興味のない私でさえ一年のころから彼の名前と顔は知っていたくらいだから、彼はうちの学校ではけっこう有名な人物なんだと思う。

どんなふうに有名なのかというと。

向日くんは、サッカーの強豪校としてもイケメンが多いことでも知られているうちのサッカー部で。

その中でも群を抜いて上手いらしく、すでに1年生のときからレギュラー入りしてるとか。

その上、目力があるパッチリとした大きな二重の目が印象的なアイドル顔負けの甘いルックスをしているから、そんなモテ要素だらけの向日くんのこと女子が放っておくはずもなく。

放課後のグラウンドは毎日女子のギャラリーでいっぱいなんだ。

とにかく、私から見た向日くんていう人は、常にスポットライトが当てられているような人で。

たとえば私が朝見つけた日陰に咲くたんぽぽだとするなら、向日くんは太陽に向かって力強く咲く、大輪の花、向日葵。そんなイメージ。