あなただけを見つめてる。



「位置について……よーい、」



──ピーッ!



体育の先生が鳴らした笛を合図に、各クラスの第一走者が一斉に走りだす。


私の走行順はちょうど真ん中くらい。


次々にバトンをつないでいくクラスメートたちをひたすら見守り続け、もうすぐ私の前走者の根本さんが走りだす。


根本さんは、あっという間に前を走っていた女子を抜かし、5クラス中、2位の順位で私がいる場所へ向かって走ってくる。


私は円周の内側から2番目に立ってバトンを待った。



──そして。



「はいっ!」



根本さんからつながれた黄色いバトンを受け取り、私は走り出す。



“その場を楽しんだもの勝ち”



さっき、向日くんにかけてもらった言葉が、何度も何度も頭の中でかけめぐっていた。



「がんばれー!葉月ーー!!」



気のせいかもしれないけど、向日くんの声が聞こえたような気がした、その時だった。



「……っ!!」



私は、なにかにつまづいた。


やばいっ、転ぶっ!!