あなただけを見つめてる。



急いで着替えを済ませ、前に風香が“葵に絶対似合うから!”ってくれた、ラメ入りのピンク色のグロスを唇に塗った。


髪は、アップにまとめて、今日はダテメガネも家にお留守番させると決めた。


部屋の姿見の前で全身の最終チェック。


もうすぐ朝陽くんに会うんだと思うと、ドキドキしちゃっていてもたってもいられないよ。


すると、突然、慌てた様子で私の部屋に駆け込んできたお母さん。


「ちょっとちょっと!葵の彼氏、超イケメンじゃな~いっ!お母さんにも会わせてよ~っ!」


「……え?」


「すっとぼけたって無駄よ!今、洗濯物干そうと2階のベランダに出たら、うちの玄関の前に男の子が立ってるの見ちゃったんだから!」


「……っ!!」



男の子……それって、もしかして。ううん、絶対に朝陽くんだよねっ!?


私は慌てて時計を見ると、時刻は9時50分だった。


朝陽くん、時間よりも早く来てくれたんだ!



「ごめんお母さん、私もう行かなきゃ!」


「ちょっと待って!お母さんに紹介してくれないのぉ!?」


「言ったでしょ!朝陽くんは別に彼氏じゃな……っ!」



しまった!



「へ~ぇ!朝陽くんていうんだ?」



時、すでに遅し……。



「じゃあ、イケメン朝陽くんが正式に葵の彼氏になったときにはちゃんと紹介してよね~♪」


「今はお母さんと話してる時間ないから私もう行くねっ!いってきますっ!」


「はいはい、お誕生日デート楽しんできてね~♪」



もうっ、お母さんてば完全に娘で楽しんでるよねっ!