「お祭りが終わるまでは絶対にだ~めっ!」
「でも……」
「向日くんを振り向かせたいんでしょ?」
「……っ」
「ギャップに弱いのは男も女も同じ。だから今日は、いつもと違う葵を向日くんに見てもらうチャンスなんだよ?」
「…………」
「名付けて、“ギャップ萌え大作戦!”。だから、これはあたしが預かっておくからね」
そう言うと、風香はさっき私から取り上げたダテメガネをカゴバックの中からチラつかせると、またそれをしまいこんだ。
「向日くん、葵見たら絶対に驚くよ。どんなリアクションしてくれるのか楽しみ~♪」
……ギクッ!
「っていうか、こっちが素の葵でしょ?チークとグロスしただけでこんなに可愛いんだから、そりゃ女子にひがまれるのも無理ないわ」
「…………」
「けど、だからってそれを隠すなんて、あたしはもったいないと思うけどな」
急に真剣な顔してそういう風香と目が合って、私はなんとなくうつむいた。
そんな会話をしてるうちに、遠くの方から太鼓の音が聞こえてきた。



