あなただけを見つめてる。




「……ただいま」



明かりもついていない、薄暗い玄関で独り言のようにそうつぶやき、家の中にあがる私。


電気もつけないまま誰もいないリビングまで行くと、ソファーにすとんと腰かけた。


あのあと、向日くんと彼女はどうなったんだろう……。


あの子、さすが、向日くんの彼女なだけあって、すごく可愛くて華があって、女子力が高そうな女の子だったな……。


少女マンガがら抜け出してきたみたいに絵になっていて、すごくお似合いだった。


向日くんは、やっぱり私とは正反対な女の子がタイプってことだよね……。



「…………」



ほんの少し開いたレースのカーテンの隙間から見えるのは、相変わらず地面を強くたたきつけている雨。


向日くん、ビショビショだったけど大丈夫かな……。


風邪ひかないといいけど……。


こんなときでも、向日くんの心配をしている自分がなんだかすごく可笑しかった。