「何かあんなら話してみろって。な?」
「……ほんとに、何も……、」
その時、教室の後ろのドアの方からがガタッと音がした。
誰かいたのか?
目の前の葉月に視線を戻すと、青ざめた顔をしている。
「葉月?大丈夫か?」
「……おねがい。おねがいだから、もう私にかまわないで……」
苦しそうな、泣きそうな顔をした葉月は、声を絞り出すようにしてそう言った。
「どういう意味だよ?」
「迷惑、なの……」
……迷惑?
迷惑って、俺が?
「女子から人気がある向日くんと話したりするだけで、私の立場が悪くなるの」
「…………」
「そういうことだから、ごめんなさい……」
そう言うと、葉月は鞄を持って教室から逃げるようにして出て行ってしまった。



