驚いて緑川さんの横顔を見つめる。


だけど、相変わらず緑川さんは空を見つめたままでいた。



「あれは、中1の夏休み明けすぐのことだったかな。学校に行ったら、突然、あたしはみんなから一斉にシカトされた」


「…………」


「原因は、夏休み中にあたしが友達の好きな人から告白されたからみたい。それを知った友達が、クラスの女子たちに“裏切られた”って言って回ってたみたいでさ」


「……っ」



私と一緒だったんだ。


緑川さんも、大切な“友達”から裏切られたことがあったんだね……。


それで、いつもひとりでいるの?



「それでもさ、みんながあたしをシカトする中で、ひとりだけ普段と変わらず接してくれた子がいたの」


「…………」


「あたしはその子にすごく救われてた。けど、それを見てた女子はその子があたしと話すことが気に食わなかったみたいで」


「……?」


「その子が、次のターゲットにされた」



それまでずっと表情を崩さなかったのに、少しだけ緑川さんの顔がゆがんだ。


悔しそうな、悲しそうな、辛そうな、なんとも言えない横顔を見て私の胸も締め付けられる。