天才に恋をした

練習が終わって、クールダウン。

ジュース、うまい。



「宮崎さんに悪いことした」



陸玖が本気で反省しだした。



アイツの話なんかしたくない。

サッカー部内の話だけしてたい。

Jリーグでもいい。

ヨーロッパでもいい。



「宮崎さん、興味ありそうだったから」



アイツが来てからロクなことねぇ。



「文化祭でうちのクラス、展示やるんだよ」

「つまんなそーだな」

「まぁね」


陸玖が苦笑いした。

「しかも『権利条約』の翻訳って聞いたら、誰もやりたがらないよね」

「なんでそんな…」



苗の話ばっかり。

他に話すこと、いっぱいあるだろ。




「うちの担任が出した企画なんだよ。他に意見も出なかったし」


俺はあいまいにうなずいといた。

缶を手に立ち上がる。


「真咲の家、寄ってもいい?」


俺は振り返って言った。

「来なくていい」

「だけどさ、割り当てを減らして…」

「いいって!苗の問題だろ!」




俺の剣幕に、陸玖が少し驚いた顔をした。


「何かあった?」

「なにが!?」



俺は缶をゴミ箱に叩きつけた。

「苗が…やりたがってるんだから、やらせとけばいいんだよ!」



陸玖は少し黙ってから、

「了解」

とだけ言った。