天才に恋をした

俺は立ち上がった。


「みなさん、望まぬ妊娠により中絶を選択する状況を想像してください。


軽率な性交渉の結果?

それとも性犯罪による被害の結果?

自分が思い描いた人生設計の変更を迫られる事態に直面した?



だからと言って、なぜ産むことができないのか。

何故なら『育てられない』から。

産むことによって、自身の未来が絶たれる可能性があるから。


であるならば、出産によって未来を絶たれない、

環境を整えることが先決であるはずです。


中絶は決してその助けにはならない。

なぜならば、中絶こそが未来を絶つという行為そのものだからです。


『子供を安心して産むことができ、安心して育てられる』

そんな社会こそが、安定した社会と言えるのです。


どうか一時的な感情の安定に、身を委ねないでください。

中絶を意図的に選択するその時に、実は自分自身の未来もそこで永久に絶たれたのだということを忘れないでいただきたい。

あなたの置かれている状況こそが、社会の未来なのです。


望まなければ切り捨てられ、

安定という名の元に淘汰される。


中絶されたのは、子供ではない。

あなたが、

あなた自身が、

社会から中絶されたのです。

不足の事態に陥ると、個人の未来が絶たれる社会に安定など存在しない。


よって、ここに『望まぬ妊娠による人工妊娠中絶は、社会に安定をもたらすことはない』と主張します」



オーディエンスの眼を一人一人見つめた。


「聞いてくださって、ありがとう」