天才に恋をした

次はシュエのスピーチ。

「人工妊娠中絶は、女性にとって出産やその後の育児というリスクよりも…多大なリスクを伴うものであります。

我が国では、様々な望まぬ妊娠の予防措置によって…」


シュエが、言葉を切った。


大丈夫か?


でもそれは、一瞬だった。


「言わせてもらいます。肯定側の主張が正しいとすると、私はこの世に産まれていません。あなたも、そして、ここにいらっしゃる多くの皆様も産まれていません。

みなさん、皆さんは土から生えてきたわけでも、空から降ってきたわけでもありません。すべからく、親がいるはずなのです。あのキリストでさえ、母親は存在します。


命は繋がっています。

両親は、別の両親から産まれ、その両親も別の両親から産まれている。

そのうちの一人でも『これは望まぬ妊娠であるから中絶しよう』それを行動に移したら、そこで命は途絶えるのです。


聖母マリアが『これは父親の分からない子供だから』と中絶を選択していたら?あらゆる救済や芸術は産まれていなかったでしょう。

それこそが社会的安定の損失であります。

それが認められたら、そもそもここに居る誰も、この世に存在しないのです。

よって、『望まぬ妊娠による中絶は、社会に安定をもたらす』という主張を否定します。

そう主張する本人が、中絶しなかったことによる賜物であるからです。

ご清聴、ありがとうございます」