天才に恋をした


シュエに肩を貸して、会場入りした。

苗もスペイン系の男と一緒に入ってくる。




「シュエ、絶対大丈夫だ。任せとけ」



シュエが、潤んだ目で見上げる。

「任せたことなんて、一度もない。人生で一度も」


思い詰められたような厳しい視線の中に、怯えがあった。

シュエですら、怖いんだ。

俺だって、そうだった。


逆に力が湧いてきた。


「新しいことにチャレンジするだけだよ。いつだって変われる。怖がることなんかない。俺も変われたんだ」


シュエが、気圧されたようにうなずいた。



司会者らしき人が進み出た。

「カードを引いてもらいます」


指名された二人がカードを引く。


俺たちは野党(否定派)になった。

空気がビリビリと鳴った。



「テーマは『人工中絶は必要か否か』準備時間20分、代表スピーチ7分、メンバースピーチ7分、総括4分とする。では、始めてください」