春休みに入って、陸玖が遊びにやって来た。
自分でもキショイけど、会えるのが嬉しすぎて寝不足。
まだ寒いけど、空気が緩んだのを感じる。
カチカチだった地面もシャーベット状になって、踏むたびにシャリシャリと調子のよい音がした。
「おっす!」
「ひさしぶり!」
思わず肩を組んだ。
陸玖は変わってない。
変わってないけど、やっぱ大学生らしい目付きになってる。
大人になったようで、のんびりした顔っていうか。
「苗ちゃんは?」
「ホームベーカリーの前で、番してるよ」
「良かった…むちゃくちゃ腹へった」
電車に乗り換えて、仲間たちの話をした。
「角田は大学入ってから、三人連続でフラれて、今は四国八十八ヶ所回ってる」
「あっはっは。マジか!まだ早くねーか?」
「早いよね?『本当に人生に迷ったら、次どこ行くんだ』って言ったんだけど」
「角田は学部どこ?」
「それが女の子追っかけて、商学部から農学に転部したんだよ。それでフラれてるし」
「ウケるアイツ。四国で農家のヨメ捕まえるしかないな」
陸玖が俺をマジマジと見た。
「なんだよ?」
「いや……もう結婚してるんだなと思って」
「そうだよ。今さら?」
「上手くいってる?」
「ある意味な」
「ある意味って?」
「今に分かるよ…」
息を飲むような山々が見えてきた。
あの白さ。まだまだ春は遠いな。
陸玖は写真を撮りまくっている。
自分でもキショイけど、会えるのが嬉しすぎて寝不足。
まだ寒いけど、空気が緩んだのを感じる。
カチカチだった地面もシャーベット状になって、踏むたびにシャリシャリと調子のよい音がした。
「おっす!」
「ひさしぶり!」
思わず肩を組んだ。
陸玖は変わってない。
変わってないけど、やっぱ大学生らしい目付きになってる。
大人になったようで、のんびりした顔っていうか。
「苗ちゃんは?」
「ホームベーカリーの前で、番してるよ」
「良かった…むちゃくちゃ腹へった」
電車に乗り換えて、仲間たちの話をした。
「角田は大学入ってから、三人連続でフラれて、今は四国八十八ヶ所回ってる」
「あっはっは。マジか!まだ早くねーか?」
「早いよね?『本当に人生に迷ったら、次どこ行くんだ』って言ったんだけど」
「角田は学部どこ?」
「それが女の子追っかけて、商学部から農学に転部したんだよ。それでフラれてるし」
「ウケるアイツ。四国で農家のヨメ捕まえるしかないな」
陸玖が俺をマジマジと見た。
「なんだよ?」
「いや……もう結婚してるんだなと思って」
「そうだよ。今さら?」
「上手くいってる?」
「ある意味な」
「ある意味って?」
「今に分かるよ…」
息を飲むような山々が見えてきた。
あの白さ。まだまだ春は遠いな。
陸玖は写真を撮りまくっている。