苗が、花好き?

「夏休みに、蓼科行ったでしょう?苗ちゃん、すごく詳しいよ」

「陸玖は!?陸玖の話は!?」

親父が騒ぐ。



「だからぁ…花を持って戻ってきて『元気になって修学旅行行こうね』って、頭をポンポンしたの~!」


親父がハシを放り出した。

「アイツ!出入り禁止!」



二人とも興奮し過ぎ。




俺は平然と、飯を食い続けた。

姉貴がチラ見してるけど、気にしない。

苗の一番近くにいるのは、俺だ。

それは揺らがない。



「まだ飾ってあるんだよ~。苗ちゃんの部屋に」


親父が舌打ちする。

「なんだよ、それ!」

「ピンクの可愛い花なの~」



俺は心の中で、それを握りつぶした。


苗と目が合った。

見つめ返す。



苗は、オドオドと目線を落とした。