天才に恋をした


代わりに、こう聞いた。


「あの連中はどうなった?」

「謝ってきたよ。俺に謝っても仕方ないのに」

「お前のファンだからだろ」

「もう来ないよ。はっきり言ったから」



俺は顔を上げた。陸玖は苦笑いした。


「あの子ら『私たちはサッカーが好きで来てる』なんて言ってるけど、違うもんな」

「そう言った?」

「言ったよ」


陸玖がふいに下を向いた。

「好きな子いるからって言ったよ」



それって…


「俺、苗ちゃんと付き合いたい」


見たことのない、深刻な眼差しだった。


「あの子と居ると…気が休まる」



お前の座ってる場所で、数時間前まで苗は…


何も言ってやれることなんてない。



…俺はもう、後戻りなんて出来ない。