「ねぇ。あんたさっきからどこ見てんのよ」


頭に急な激痛。

見上げるとそこには、頭をくるくるパーマにした美奈実が立っていた。






『ちょ!美奈実!どうしたのよその髪!』


あまりの衝撃に、私は一歩引いて叫ぶ。

還暦を迎えてもなお若作りをするオバサンのような髪だ。



美奈実は、毛先をくるくるさせながら言った。

「今日ね、合コンなの♡。あたし一人で行くのは気がかりだから、優那のこと誘おうとしたのに、外見て上っ面してるからさぁ~」

『上っ面?』

「なんかボケーっと幸せそうにしてたのよ。彼氏でもできた?」

『!』

「あら!いつのまに!誰?相手!」







…鋭い。

美奈実め。
恋話大好き、恋愛大好き、セフレの数は数しれず…


そんなヤバいにヤバいを重ねたような人なら、私のことなんてすぐ見抜いちゃうんだろうな。





…………圭斗も。











『それより…美奈実。カールアイロン、使い慣れてないの?』


私の急な質問に、美奈実はビックリしているようだった。


「なによ」

『いや……………』


言おうか躊躇する。




「言ってよ、なんでそう思うの?」


んん…

言っちゃおう。






『カールがあまりにも………へ…下手くそ…』

少し遠慮気味にいった。
さぁ、美奈実はどんな反応を取るだろうか。



薄目で目の前の美奈実を見ると、白目&麻痺。

『ちょ!?美奈実!!??』


肩を揺すると、急に美奈実が話しだした。






「ねぇ。あたしの髪…なんとかして」

『え?』

「ヘアアレンジ得意だよね?いやてか得意でしょ。今日も綺麗なお団子ヘアーね」

『美奈実の髪を、セットしろってこと?』

「そうよ!今!今よ今!ほら、トイレ行くわよ!」










髪をセットしてもらうのにあんなドデカイ態度。


私は、美奈実に引っ張られるようにトイレに入り込んだ。