「ねぇ。ダディ、マミィ。僕は日本人?」

「そうよ、徹。あなたは日本人よ」

「でも、どうしてみんなと違うの?」

「…………」

僕が尋ねても決して返事が返ってくることはなかった。

母は気まずそうにうつむき、父はことさら明るく外を指差し、町の説明を始めた。

「ほら、徹。外をご覧。

あれが、東京タワーだ」

僕はもうこれ以上は、聞いていけないことを本能的に嗅ぎ取った。

僕から見た両親は明らかに日本人だった。