中学に入り、オレのバスケ三昧の生活に微かな変化が訪れた。

なんて、名前だったっけ……。

ああ、思い出した。

「吉澤えり子」だ。

みんなに「エリー」って呼ばれて誰にでも愛想のいい、人目を引くようなキレイな女だった。

その上、クラスの中でもちょっと大人びた変な女。

男どもは、みんなコイツのことで騒いでたっけ。

でも、オレは、当初、この女に全く関心を持たなかった。


あの日までは……。