「さっきの話を聞くと、なおさら、君を帰したくないな……」

トオル君は私が持ってきた丹前を私に着せると、そのまま私を抱き締め黙り込む。

月の光を弾いてキラキラと輝く彼の金髪がきれいで、私は彼の腕の中でボォっとしてしまう。

でも、やがて彼は抱き締めていた手を解くと、私の肩を両手で支えながら呟く。


「片岡が倒れたらしい……」