オレは不愉快な気分で北尾の腕を振り解いた。

そして、ハルナに会話が聞こえないよう小声で北尾に噛み付く。

「妹じゃない!!」

「え?!以前、お前言ってただろ。

『あいつは妹だ』『女じゃない』『まだまだ子供だ』ってさ」

「それは……!」

その時、ハルナがコーヒーをトレイに乗せて持ってやってきた。

カチャカチャと食器が鳴る音を聞きながら、オレは消化できない不愉快な想いを募らせていた。

ハルナが北尾に砂糖を差し出した時、オレは後に思い返せば恥かしいほど大人気ないことをした。