「佐野。」 そう囁くように萩野は私の名前を呼び、 手首を握って歩き出した。 「は、萩……っ」 「葉月!?」 「梨央どこ行くんだよ!」 構わず萩野は私を引っ張って屋上への階段を登った。 え……やっぱり怒ってるの……?