「やっと、前に来た」

泣きそうな顔に手を添える。

笑った。
あなたという人は、と彼は苦笑する。


「ねえ、どうして」

一番聞きたいことは、暗転に呑まれた。

随分と、暖かい暗転に包み込まれた。


今は眠って下さいと、囁かれながら。