予想通り、おっさんの第二撃が来る前に、第三者。

高い身長の賜物たる足を存分に見せびらかすような飛び蹴りが炸裂する。

倒れるおっさん。すかさず彼ーーストーカーさんは、マウントを取り、右と左の拳による殴打連打。飽きたらず、コタツを叩きつけ始めた。

「さすがに、殺したら、まずい、か、と」

喋ろうとしたら、ろれつがあまり回らなかった。届いたか分からない虫の羽ばたき程度の音でも彼は聞き取り、私に近寄る。


どこをやられました、大丈夫ですか、今救急車を、しっかりして下さい。矢継ぎ早に言う彼、それらに受け答えしていれば、やがて、すみませんと謝罪された。

「俺が、いながら……」

いや、まあ、部屋にカメラつけていても、あくまでこの人が見ているのは“私”。無人の部屋など眼中になく、そこでおっさん侵入して好き勝手やっても彼は存ぜぬ話。

なんで、すぐに駆けつけてくれなかったとは言わない。彼は必ず、私の“後ろ”にいるんだから。