「ええと」

「口裂け女装った変質者です。あなたがさっさと退避しないものですから、うっかり飛び蹴りが出てしまいました。男として最低ですが、あなたを狙う最低が退治出来たので相殺で。さて、警察に電話を」

あくまでも、私に顔を見せないのはストーカーさん。そうして、職業ストーカーにも近しい人が110へ連絡している。

「口裂け女って、いないんだ……」

「いたら困ります。あなたを守れない」

それでも守れると思わせる大きな背中だった。


【そうして、やっぱり顔は見せない】