私には、ストーカーがいる


ーー

都市伝説は信じる方だった。

本日のバイトは夜の十時まで。当たり前のように、帰路は暗い。

住宅街であっても、こんな時間では人通りも少ない。街灯で申し訳ない程度に照らされた道筋にて、口裂け女がいた。

赤いコートに、長い髪。マスクをして、こちらをじぃっと見ている。

通り過ぎようとしたが、そこは口裂け女。私の前に立ちはだかり、右手に鎌を携える。

「ねえ、私、綺麗?」

にんまりと唇のように歪む目元。さて、口裂け女にあった場合はどうするべきか。とりあえず、逃げようと思った矢先ーー口裂け女の体が弾け飛ぶ。